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「イタリアと日本をつなぐ人々」③リードオフジャパン 渡邊弘之社長――人生を楽しむために働く

Keiko Shimada

2026.10.08

「人生の優先順位は仕事ではないんです」。そう語るのは、世界各国の食品や飲料を日本に紹介してきたリードオフジャパン株式会社 創業者で代表取締役社長の渡邊弘之さん。現在はイタリアを代表するビールブランド「Birra Moretti ビッラ・モレッティ」や健康志向ブランド「Misura ミズーラ」などを手がける渡邊さんのビジネスの根底にあるのは、若き日にメキシコで出会った「ラテンライフスタイル」でした。


ラテンライフスタイルとの出会い

「大学時代、メキシコへ渡ったことが人生の大きな転機になりました」と渡邊さん。留学のつもりで渡りましたが、宝石事業を営む叔父の仕事を手伝うことになり、そこでビジネスの基礎を学びました。


筆者がなにより驚いたのは、一度も商社などの企業に務めることなく、自ら事業を立ち上げて成功へと導いたこと。
「その会社の色に染まることなく、自分がやりたいと思ったことをやってきただけなんです」


ブラッセリー・ヴァトゥ」の前に立つ渡邉弘之社長
リードオフジャパンが手がける六本木「Brasserie Va-tout ブラッセリー・ヴァトゥ」にて

「日本人に人生の優先順位を聞くと、多くの人は仕事と答えると思います。でもメキシコでは違いました。家族や趣味が先にあって、仕事は4番目か5番目です」。

ワールドカップのために何年もお金を貯める人もいます。ときには仕事を辞めてでも現地へ応援に行く人もいます。昼食後にはシエスタを取り、眠ければ休む。それが自然なことだという考え方に感銘を受けた日本人の若者。

「人間も動物ですからね。本能や感性を大切にする。その考え方にとても共感しました」


そんな若き日の経験が、現在のビジネスの原点になっています。

食事を楽しむこと。仲間とお酒を飲むこと。家族との時間を大切にすること。

人生を豊かにする文化そのものを届けたい――そんな思いが、今の仕事につながっていると言えるでしょう。


ブラッセリー・ヴァトゥ」店内の渡邉弘之社長

Misuraとの出会い――イタリアという新たなラテン文化

メキシコとの縁から始まった事業ですが、やがて視線はヨーロッパへ向かいます。その中でも特別な存在になったのがイタリアでした。

「イタリアもラテン文化圏です。家族を大切にして、食事を楽しみ、人生そのものを楽しむ。考え方に共通点があるんです」


そしてイタリアブランドの取り扱いが始まり、その代表的なブランドのひとつが、全粒粉ビスケットとクラッカーの「ミズーラ」でした。

「イタリアの商品は、単に美味しいだけではありません。背景に文化や哲学があります」


リードオフジャパンで取り扱うイタリアンブランソ
リードオフジャパンで取り扱っているイタリアンブランド、ビッラ・モレッティ、ミズーラ、ロッカ・ディ・フォルティ

現地の工場や生産地へ足を運び、生産者の思いや土地の歴史を自ら確かめることも少なくありません。

「誰が、どんな思いで作っているのか。それを理解して初めて商品を扱えると思っています」


イタリアでビジネスをするブ渡邉弘之社長

Birra Morettiが伝えるイタリアの食卓文化

今年4月から取り扱いを開始したのが、イタリアを代表するビールブランド「ビッラ・モレッティ」。1859年以来、変わらぬ製法を守り続け、上質なホップを贅沢に使用し、ホップの香りとフルーティーな香りがバランスよく調和したラガービールです。


ビッラ・モレッティ

「モレッティは、イタリアの食文化そのものだと思っています」

イタリアでは、家族や友人が長い時間をかけて食卓を囲みます。料理があり、ビールがあり、会話があります。

そこにあるのは、単なる飲食ではなく、人と人とのつながりそのものです。


イタリアで食卓を囲む渡邊社長
ヴェネツィアで船に乗る渡邉弘之社長

「イタリア人は人生を楽しむことが本当に上手ですよね」

だからこそ、単に商品として販売するのではなく、その背景にあるライフスタイルまで日本へ伝えたいと考える渡邊さん。

「なぜイタリア人がこのビールを愛しているのか。その文化まで含めて紹介したいと思っています」


オペラとイタリア文化

イタリアとの縁は、食だけではありません。
幼い頃から身近にあった音楽も、イタリアとの大切な接点です。お母様は音楽大学で声楽を学び、オペラ歌手を目指していました。その影響もあり、ご自身も長年合唱を続けています。


バチカンにて、オペラ歌手 中丸三千繪さんとともに
バチカンにて、オペラ歌手 中丸三千繪さんとともに

「バチカンで歌ったこともありますし、イタリアの音楽祭にも参加してきました」

現在も合唱団活動を続けながら、お母様への親孝行として、オペラコンサートの企画などにも取り組んでいます。

「親孝行したいと思ったときには親はいない、とよく言いますからね」


「イタリアを訪れるたびに感じるのは、音楽が特別なものではなく、人々の日常に自然と溶け込んでいることです」と語った渡邊さん。

食事を楽しみ、音楽を楽しみ、人との時間を楽しむ。

そうした豊かさこそが、イタリア文化の魅力なのかもしれません。


イタリアが教えてくれた人生の豊かさ

現在は、企業の業務とは別に、故郷の山梨県でホップ栽培にも取り組み、自らクラフトビールづくりにも挑戦している渡邊さん。生産・加工・販売を地域の中で一体的に行い、地域活性化の手段として注目されている六次産業についても教えてくれました。


「私も六次産業への取り組みとして『ホップは自分たちで育てるべきだ』と考え、6年前から栽培を続けています。ビールを造るだけでなく、原料となるホップから育てることが大切です。さらに最近は、茨城でモルトづくりを始めた友人とも協力しながら、地域に根ざしたビールづくりに取り組んでいます」


自ら原料の栽培に乗り出し、畑仕事で汗を流している社長の姿。食文化をはじめさまざまな分野に対する飽くなき探究を続ける姿勢は、「常にチャレンジを続けることの大切さ」を伝える、社員たちへのメッセージにもなっています。


イタリア滞在中の渡邉弘之社長

メキシコで触れたラテン文化をきっかけに、イタリアの食や文化にも関わることになった人生。
その根底には、一貫して「人生を楽しむ」という価値観があります。

「仕事はもちろん大切です。でも、それだけではありません。美味しいものを食べて、お酒を楽しんで、音楽を聴いて、家族や仲間と過ごす。その時間が人生を豊かにしてくれるんです」


ラテンライフスタイルで、人と人をつなぐ。

それは、渡邊社長が自らも実践している生き方であり、リードオフジャパンという会社が、その商品やサービスを通じて提案し続けているテーマです。


リードオフジャパン公式サイト
https://www.lead-off-japan.co.jp/