今年、ヨーロッパは記録的な暑さに見舞われています。予想されていた通り、ワイン産地でもブドウの収穫が例年より早く始まりました。
スーパータスカンの名手として世界的に知られる、トスカーナ州ボルゲリのオルネッライアでも、白ワイン用ブドウ、ソーヴィニヨン ・ブランの収穫が8月10日にスタート。
いよいよ、2026年ヴィンテージが動き始めました。
今年は、どんなヴィンテージに?
収穫開始を目前に控えた8月6日、オルネッライアのテクニカルディレクター、マルコ・バルシメッリ氏に今年のブドウの出来について伺いました。

「今年はブドウの粒が小さいのですが、果汁と果皮のバランスがとても良い。今のところの印象では、白も赤もビッグヴィンテージになる可能性があります。
乾燥して暑いヴィンテージなので、白ワインはアルコール度数が14%前後になるかもしれません。でも、しっかりと酸が残っているので、非常に良いバランスになると思います」

赤ワイン用の黒ブドウについては、まだ最終的な判断をするには少し早いものの、現時点では高いポテンシャルを感じさせるヴィンテージになりそうです。
ちなみに、昨年の白ブドウの収穫開始は8月18日。今年は、それより8日ほど早いスタートとなりました。

かつて醸造家にとって8月は、いわば「ヴァカンスの月」でした。しかし近年は、気候変動の影響もあり、8月頭には、既に収穫に備えてスタンバイしているワイナリーも少なくありません。

ハーヴェストを乗り切る、心と身体の整え方
収穫期は、醸造家にとって一年で最もプレッシャーのかかる時期です。
私自身、カリフォルニアでワイン造りを学んでいた際に、収穫期を迎えた醸造家たちの姿を間近で見てきました。長時間にわたる作業が続き、心身ともに負担の大きい時期であることは、よく分かります。

そこでマルコさんに、ハーヴェストという一年で最も忙しい時期を、どのように乗り越えているのかを聞いてみました。
「スポーツをすることですね。収穫期は自然と歩く歩数も増えますが、ランニングをしたり、自転車に乗ったりもします。身体を動かすことはとても大切です。
そして、身体だけでなく、メンタルを整えることも重要。私は楽器を弾きます。実はダブルベースでジャズを弾くのが好きで、1〜2時間演奏すると、とてもリラックスできます」
そう微笑みながら話してくれたマルコさん。
ワイン造りのプロフェッショナルも、スポーツと音楽で、自身のコンディションを整えているのですね。
ハーヴェストを支える「朝食」
もう一つ気になったのが、収穫期の食事です。
朝早くから長時間にわたって作業を続けるには、やはりエネルギー補給が欠かせません。
「収穫期は、朝食がとても大切です。朝から長時間エネルギーを保ち、集中しなければなりませんから。卵料理、アボカド、パンなど、しっかりエネルギーをキープできるものを食べます。
普段は、フランス人のようにクロワッサンとブラックコーヒー、ケフィアヨーグルト、オレンジなどで済ませることが多いのですが、ハーヴェストの時期は、もっとリッチな朝食を取ります」
早朝から深夜まで続く仕事が続く、収穫時期。朝1番の食事が重要なのも、納得です。

一年に一度しかない、そしてその年のワインの運命を左右するハーヴェスト。ブドウ畑で働く人々にとって、食事もまた、重要な仕事の一部なのかもしれません。
オルネッライアと楽しみたい、イタリア料理
最後に、オルネッライアで造られる白ワインとグランヴァンの赤に合わせたい、イタリア料理をマルコさんに聞いてみました。

白ワインのセカンド、「ポッジョ・アッレ・ガッツェ・デル・オルネッライア」には、帆立を使った料理がおすすめ。また、ボンゴレ・ビアンコにボッタルガを添えるのも、絶妙なマリアージュだそうです。ボッタルガが持つミネラル感と塩味が、ワインの味わいととてもよく合うのだとか。

そして、オルネッライアには鴨料理がおすすめ。さらに、熟成した古いヴィンテージなら、鳩料理との組み合わせが最高だそう。

ポッジョとボンゴレは、私もトライしたことがあるのですが、それはそれは素晴らしいペアリングでした!
いよいよ、2026年ヴィンテージが動き出す
白ブドウの収穫後、仕込みへと続き、その後には赤ワイン用の黒ブドウの収穫、そして仕込みへ。
オルネッライアのプロダクションチームにとって、まだまだ長く、そして緊張感の続く日々が待っています。

今年の暑く乾燥した気候の中で育ったブドウが、最終的にどのようなワインへと姿を変えるのか。
マルコさんをはじめ、ワイナリーのプロダクションチームのハードワークに心から拍手を送りながら、2026年ヴィンテージのこれからのニュースを楽しみに待ちたいと思います。