Copy link
bookmarked-checked-image

『イタリアと日本をつなぐ人々』① モンテ物産 森本明子社長 イタリアの食文化を、日本の食卓へ。

Keiko Shimada

2026.07.31

ITALIANITYの新連載『イタリアと日本をつなぐ人々』第1弾に登場していただくのは、モンテ物産 代表取締役社長の森本明子さん。1977年の創業以来、イタリアのワインと食材を通じて豊かな食文化を日本に紹介してきたモンテ物産において、2024年に同社初の女性社長として就任した森本さんに、2つの国をつなぐ仕事への思いと、イタリアの食文化についてお聞きしました。



食材だけでなく、その背景にある文化を伝える

輸入商社のトップでありながら、いつお会いしても穏やかでやさしい笑みを浮かべ、周りの人をあたたかなぬくもりで包み込む森本さん。シンプルなスーツに、明るい色合いのスカーフをアクセントに効かせたファッションも、森本さんのスタイルを表現しています。


「私たちの仕事は、イタリアの商品を輸入して販売するだけではありません。生産者の思いや、その土地に根づく文化まで含めて日本の皆さんに伝えることが使命だと考えています」と語る森本さん。
モンテ物産は、特色あるイタリア各州のワインをはじめ、パスタ、オリーブオイル、トマト製品、ビールなど、多彩な商品を取り扱っています。

同社が掲げるのは、イタリアの素晴らしい、真の食文化を知るプロ集団が、日本の食卓に新たな価値・豊かさを届けること。単に海外の商品を紹介するのではなく、日本の市場や食習慣を理解したうえで、その魅力を伝える“架け橋”であることを大切にしています。


かつてパスタは、レストランで味わう特別な料理でした。しかし現在では、「ごはん、パン、パスタ」と並べられるほど、日本の家庭に定着しています。その背景には、モンテ物産をはじめとする企業が、長い年月をかけて本場の味と食べ方を伝えてきた歩みがあります。

アンテナショップC A `MONTEの店内
多種多様なイタリアの食材や飲料が並ぶ青山のアンテナショップCA’MONTE

地方ごとの個性を大切にするイタリアと日本

森本さんは、イタリアと日本には高い親和性があると感じています。

「イタリアには20の州があり、北から南まで、それぞれに郷土料理や伝統があります。海に囲まれ、中央に山があり、地域ごとに異なる文化を持っているところも日本とよく似ています」。


さらに、職人の技やものづくりを尊重する姿勢も、両国に共通しています。土地の素材を活かし、受け継がれてきた製法を守りながら、時代に合わせて進化させていく。「そうした価値観が、日本人がイタリアの料理や文化に親しみを感じる理由の一つではないでしょうか」と森本さんは語ります。

インタビュー中の森本さん

一方、ビジネスの現場では文化の違いに直面することもあります。日本では商品のラベルや外装にまで完璧な状態が求められますが、イタリアでは中身に問題がなければ気にしない生産者も少なくありません。


たとえば、小麦粉の紙袋にわずかな隙間があることを指摘すると、「小麦粉は呼吸しているのだから、開いているのが自然だ」と説明されたことも。どちらが正しいということではなく、異なる感覚を理解し、双方が納得できる形を探ることも、2つの国をつなぐ仕事の一部です。

イタリアンビール、ドロミティとカステッロ
2026年2月にモンテ物産が発売した日本初上陸のイタリアビールブランド「カステッロ」(右)と「ドロミティ」(左)

人と人が直接出会うことで、食文化は広がる

モンテ物産では、生産者の来日に合わせた試飲会や商談会、料理人向けの講習会などを開催。原料小麦から栽培する稀有なパスタブランド「MANCINI マンチーニ」を使い、シェフが新しいレシピを考案するコンテストも話題となっています。

イタリアの高級パスタ「マンチーニ」
豊かな小麦の香りと、もっちりとした食感が魅力。小麦の栽培から製粉、製造まで一貫して手がけるパスタメーカー「マンチーニ」のパスタ。

「ワインは飲めば特徴が伝わりやすいですが、食材は使い方を知ってもらうことが大切です。実際に料理し、味わっていただくことで、初めて魅力が伝わります」。


同社のアンテナショップ「CA’MONTE カ・モンテ」は消費者向けの情報発信拠点、キッチンでは料理人や取引先向けの商品提案やセミナーを行っています。生産者、料理人、販売者、消費者を結ぶことで、一つの商品が文化として日本に根づいていくのです。

CA'MONTEの外観
アンテナショップCA'MONTEはテイスティングBarも併設
CA'MONTEで販売しているイタリアワイン
イタリアを代表する銘醸地の赤ワイン。左からブルネッロ・ディ・モンタルチーノ(バンフィ)、バローロ(フォンタナフレッダ)、ガッリーナ・バルバレスコ(ラ・スピネッタ) 

モンテ物産に入社する前からワインに携わっていた森本さんに、おすすめのイタリア料理とワインについてうかがいました。

「最近では、南イタリアに行くことが多いので、“ポルポ・アッラ・ルチアーナ”や、現地で親しまれている魚のフリットが好きですね。ワインのペアリングで言うと、脂っぽいものを泡とかさっぱりした白で洗い流す合わせ方があって、そうした揚げ物には、よく冷やした白のカジュアルなワインがよく合うし、美味しいなって思います」。

ナポリのタコ料理
ナポリのタコ料理「ポルポ・アッラ・ルチアーナ」
イタリア滞在時、テーブルを囲む森本さん
イタリア滞在時の森本さん

誰もが活躍を実感できる会社へ

サントリー入社後、ファインワインを扱うグループ会社への出向などを経て2021年にモンテ物産へ移り、2024年、社長に就任した森本さん。大切にしているのは、社内のコミュニケーションと、一人ひとりが仕事への誇りを持てる環境です。

「誰もが活躍するだけでなく、自分自身が『活躍できている』と感じられる状態が大切だと思っています。自分の仕事が会社や誰かの役に立っていると実感できれば、誇りを持って働くことができるからです」。


社長と社員の距離を縮め、意見や相談を直接伝えやすい組織をつくること。それは、森本さんが就任後に力を注いできたことの一つです。


そして今年の3月、森本さんは、在日イタリア商工会議所が国際女性デーに合わせて開催する『Mimosas Day Award 2026』を受賞。企業としてイタリア食文化の価値向上と日伊交流への長年の貢献に加え、女性リーダーとして持続可能な事業運営を牽引し、次世代に希望を与えた点が評価されての受賞でした。

『Mimosas Day Award 2026』授賞式
(左から)マリオ・ヴァッター二駐日イタリア大使ご夫妻、森本明子さん、在日イタリア商工会議所事務局長 ダヴィデ・ファントーニ氏

次の50年へ、イタリアの「今」を届ける

2027年、モンテ物産は創業50周年を迎えます。日本では調理にかける時間が減り、惣菜や冷凍食品、オンラインショップの需要が高まるなど、食を取り巻く環境も変化しています。


それでも森本さんが変わらず大切にしたいと考えているのは、人と人が食卓を囲む時間です。

「一人で食べるよりも、誰かと一緒に味わい、感想を話しながら分かち合う時間に幸せを感じます。そういう時間がもっと増えれば、世の中は少し平和になるのではないかと思うんです」。

イタリア滞在時の森本さん
イタリア滞在時の森本さん

伝統的なナポリピッツァがある一方で、コルニチョーネ(縁)がふっくら高いピッツァ・コンテンポラーネアが若者の支持を集めるように、イタリアの食文化も常に進化しています。現地で生まれる新しい動きをいち早く見つけ、日本に伝えていくこと。それこそが、森本さんが思い描くモンテ物産の未来です。


イタリアの土地、生産者、料理人の思いを受け取り、イタリアの真の食文化を届けることによって、日本の食卓をより豊かにする。森本さんとモンテ物産は、食卓から始まる文化交流によってイタリアと日本を深くつなぎ、その絆を育み続けていきます。


モンテ物産公式サイト https://www.montebussan.co.jp/

モンテ物産 オンラインショップ https://www.camonte.com/


CA’MONTE
11:00-18:00
定休日:日曜・祝日・年末年始
東京都渋谷区神宮前5-52-2 青山オーバルビル B1F