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郷土料理で巡るイタリア🇮🇹③菊池優也シェフがトスカーナのパスタで作る「パッパルデッラ・リピエーナ・アラ・カルボナーラ」

Keiko Shimada

2026.04.28

気鋭のシェフが、ITALIANITYのためにイタリアの郷土料理を調理!菊池優也シェフの第3弾は、2025年、イタリア料理コンクール決勝戦で披露した、トスカーナ×ローマのパスタが登場します。イタリアを旅するような気分で、Buon appetito!



トスカーナ × ローマの絶品パスタ

2025年11月21日、「第16回 全国イタリア料理コンクール」決勝戦。伝統的なカルボナーラに続いて「革新的なカルボナーラ」というテーマで菊池優也シェフが披露したのが「Pappardella ripiena alla Carbonara パッパルデッラ・リピエーナ・アラ・カルボナーラ」。トスカーナの郷土パスタ、リボンのような平打ち麺を使用し、ローマが誇るカルボナーラの味わいを表現したパスタです。


残念ながら、トータルの審査で準優勝となった菊池シェフですが、会場にいたゲストもイタリア人審査員も魅了された「カルボナーラ味のパッパルデッラ」は、まさに革新的。その特別なパスタを、ITALIANITYのためだけに菊池シェフが作ってくれました。

「第16回 全国イタリア料理コンクール」の表彰式
優勝した矢口喜章シェフ(右から3人目)と、準優勝とメディア賞を受賞した菊池シェフ(中央)

ピエモンテで学んだ独創的な形のパスタ

「パッパルデッラとはリボンのような平打ちパスタで、トスカーナの郷土パスタです。リピエーナは詰め物をするスタイルで、今回作る形は、ピエモンテの料理学校で習いました」。


普通の平打ち麺を立体的に形成するだけで、たちまちおしゃれな印象に!「正直、この形でカルボナーラを思いついたときは『いける!』と自信がありました。イタリアへ修行に行ったとき、一番初めに驚いて、『僕はイタリア料理のことをなにも知らないんだ』という気づかせてくれたパスタだったんです」。


詰め物をして丸めたパッパルデッラ
リボン状のパッパルデッレに詰め物をして丸める

「『カルボナーラ』は世界的に愛されている料理。自分のアイデアも大事だけど、新しいものを生み出すというより、なるべく伝統的なレシピを活かしたくて。追加したのはじゃがいもだけです」。卵黄とグアンチャーレ(豚頬肉の塩漬け)、ペコリーノ・ロマーノと黒胡椒だけが素材のカルボナーラは、卵が固まってしまうと台無し。「カルボナーラってすごい付きっきりというか、少しも離れられない。1回始めると止められないし、火加減がすごく難しいです」。

湯煎でパッパルデッラに火を通す

コンクールでは、2種類のカルボナーラ70人分をカセットコンロで調理していた菊池シェフ。湯煎にかけてパッパルデッラに火を通していく様子を見ながら、「あの時間内でどうやって70名分作ったのか想像できない」と思いました。

盛り付けをする菊池シェフ
パッパルデッラの周りにベビーリーフを盛り付ける菊池シェフ

見た目も美しい!パッパルデッラのカルボナーラが完成

「えっ!これなに?」と形に驚きながらも、食べてみると紛れもないカルボナーラ。卵黄とグアンチャーレ、ペコリーノ・ロマーノが一体となって醸し出される旨みに、黒胡椒がピリリと効いた極上のカルボナーラは、唯一加えたじゃがいもが詰め物としての完成度を高め、炙ったローズマリーの香りが料理をワンランク引き上げています。


今回、撮影用にパスタは厚めに仕上げたそうですが、もっちりとした歯応えがあって、筆者はこの厚さが美味しいと感じました。カルボナーラという、シンプルだからこそ難しいパスタ料理の進化系が、ここにあります。

完成したパッパルデッラ・リピエーナ・アラ・カルボナーラ
コンクールでも使った器は、先輩から贈られた益子焼

浮き沈みの激しいシェフ人生から未来へ

イタリア料理コンクールに挑んだ菊池シェフが身に着けていたエプロンは、イタリアで修行していたピエモンテ州ノヴァーラのリストランテ「Macallè マカッレ」のスタッフから贈られたもの。ファイナリストとなったことを伝えると、彼らは自分のことのように喜んでくれたそうです。

『マカッレ』のスタッフからエプロンを贈られて笑顔の菊池シェフ
『マカッレ』のスタッフからエプロンを贈られて笑顔の菊池シェフ

ファイナルで矢口シェフに敗れたとき、審査員のアンティカ・オステリア・デル・ポンテ総料理長 ステファノ・ダル・モーロ氏に年齢を聞かれ、「若いからまだまだチャンスがある」と激励された菊池シェフ。実はここ数年、あり得ないほどアップダウンの激しい月日を送ってきました。


まず、宇都宮短期大学附属高等学校の調理科を卒業し、麻布十番のイタリア料理店で修行を始めたとき、尋常性白斑という皮膚疾患を患いました。環境を変えた方がいいということもあり半年で退職し、その後、いまも勤務している自衛隊中央病院において入院患者の食事の調理を担当。料理店で修行している元同級生たちの様子に焦りを感じた菊池シェフは、一念発起して本場イタリアでの料理修行へ。ピエモンテの料理学校を経てリストランテ「マカッレ」でオーナーシェフ セルジオ・ズインさんとスーシェフのマルコさんに鍛えられ、充実した修行生活を送りました。

マカッレのスタッフたちと記念撮影する菊池シェフ

たくさんのレシピと技を学んで帰国した菊池シェフですが、せっかく就職したイタリア料理の名店をわずか1か月で退職することに。理由はバイクの交通事故でした。「結構重症で3か月は働けない。その店で5年くらい働けば、シェフとして引き出しも増えると思っていたのですが…」。


ただし、そこでめげないのが菊池シェフ。「へこんでいたのですが、ここで止まると終わってしまうと思って。何かを始めてみようとイタリア料理コンクールに参加して、同じ頃に自分の店『スカルペッタ』も週に一度ですがオープンしました」。結果的に、有名レストランのシェフも含めて約100名が参加したコンクールを勝ち抜いて準優勝したのですから、強運の持ち主なのか運が悪いのか、難しいところです。

「第16回 イタリア料理コンクール」での菊池シェフ
『第16回 イタリア料理コンクール』での菊池シェフ

「去年、24歳(数え年25)の厄年だったので、そのせいかな」と笑う菊池シェフ。最悪のアクシデントを、イタリアでのすばらしい出会い、自らの才能と努力で乗り越え、「30歳までに、故郷の栃木に自分のイタリア料理店を開きたい」と未来を見つめています。


2026年は、『全国イタリア料理コンクール』や『サンペレグリノ・ヤングシェフ・アカデミー・コンペティション』に参加予定で、もちろん目指すのは優勝!ITALIANITY読者のみなさんも、菊池優也シェフの活躍を応援してください。


菊池優也シェフ Instagram
https://www.instagram.com/yuya.cucina/