アジア最大級の食品・飲料展示会「FOODEX JAPAN 2026」。毎年注目を集めるイタリアは、3500㎡を超えるイタリア館を設置し、イタリア全土から出展した約190社の製品を紹介したほか、8つの特設コーナーが設けられ、常に大勢のゲストでにぎわっていました。
連日イベントに人が集まったエミリオ・ロマーニャ州
「FOODEX JAPAN 2026」で最も力が入っていたのがエミリア・ロマーニャ州。初めて独自ブースを出展し、35団体が参加しました。イタリア北東部にあるエミリア・ロマーニャ州は、豊かな農産物に恵まれた地域。DOP(原産地呼称保護)とIGP(地理表示保護)に認定された製品が世界で最も集中し、イタリアが誇るいくつもの名産品が生まれている“美食の宝庫”です。
PRブースでは、クッキングユーチューバーとしても活躍する俳優の速水もこみちさんをはじめ、連日特別ゲストを招いてのデモンストレーションを実施。筆者の取材時には、YouTubeチャンネル「ファビオ飯/イタリア料理人の世界」を主宰する人気シェフ・料理研究家、Chefファビオ氏のクッキングショーが開催されていました。

カーザ・アルトゥージ財団のシェフ マッテオ氏とともに、エミリア・ロマーニャを代表するボローニャ産モルタデッラIGPを、シンプルながらも印象的な一皿に仕上げたChefファビオ氏。モルタデッラは、日本では“ボロニアソーセージ”としておなじみの味で、かわいいキューブ型になってはいるものの、それはまるでハムカツ。そこに、風味豊かなモデナ産バルサミコIGPを数滴たらすと、たちまちエミリア・ロマーニャの美食に!「生まれてから今までに食べたハムカツで、一番美味しかった」というMCの言葉が、その感動をストレートに表しています。


ヴィンテージ・バルサミコも登場!
エミリア・ロマーニャ州を代表する名産品のひとつが、モデナ産バルサミコ。ブドウの濃縮果汁を木樽で熟成する伝統的な製法を守り、甘酢っぱく濃厚な香りを誇る酢は、料理の風味を一変させる力を持っています。
「Acetaia Bellei アチェターイアベッレイ」は、モデナの中でも最も厳格な品質基準を守り、厳選されたイタリア産の原材料のみを使用することで、唯一無二の製品づくりに取り組んでいるメーカー。バルサミコづくりに特化した名匠として知られています。
36ヵ月熟成の「スアマエスタ デンソドルチェ」は、濃厚なコクがありながら酸味は4%とひかえめで、口の中いっぱいに華やかな香りが広がります。

煮詰めたフルーツやバニラのような香りの12年熟成「アチェートバルサミコ ディモデナDOP EXヴェッキオ12年」、芳醇な香りと長い余韻が続く25年熟成「アチェートバルサミコ ディモデナDOP EXヴェッキオ25年」と、プレミアムなバルサミコもラインナップ。バルサミコを使いこなせば、イタリア料理の腕が格段にアップします。

サルデーニャ島のソウルフード
「FOODEX JAPAN 2026」では、サルデーニャ州の食文化にも注目が集まりました。サルデー二ャ島は、イタリア半島の西、地中海に浮かぶ大きな島で、海に囲まれながらも「山や牧畜の文化」が根付いた独特の食文化を持っています。
最初にチェックしたのは、羊飼いたちの伝統的なパンを提供する「GIULIO BULLONI ジュリオ・ブッローニ」。中でもサルデーニャのソウルフードと言われる「パーネ・カラザウ」は“楽譜の紙”と呼ばれるほど薄く伸ばしたパリパリ食感。「羊飼いが牧畜の際に携帯するために、日持ちの良さを極めたパンが誕生しました」と伺って納得。ブッローニ家の故郷であるビッティに伝わるレシピに基づき、職人の手で丁寧に作られているそうです。

伝統的な「パーネ・カラザウ」に加え、オリーブオイルと塩で味付けした「パーネ・グッティアート」は、4種のハーブ入りフルール・ド・セルで香りづけしたもの、3種のペッパー入りフルール・ド・セルで香りづけしたものなど、バリエーションも豊富。ワインのおつまみにもぴったりです。


サルデーニャ産ボッタルガは塩味ひかえめ
サルデーニャの名産「Bottarga ボッタルガ」は“カラスミ”のこと。ボラ(グレイ・マレット)の魚卵を塩漬けして乾燥させ、濃厚な風味とほのかな苦味を持つ珍味へ仕上げています。
専門メーカー「BLUE MARLIN」で試食させてもらうと、日本のカラスミより塩分はひかえめでしっとりした食感。アンティパスタ(酒の肴)はもちろん、パスタの調味料、前菜やサラダにも幅広く使える万能食材として愛されているのも納得です。


ペコリーノ・ロマーノはサルデー二ャ産!
「ペコリーノ・ロマーノは、実は、90%以上はサルデーニャで生産されています」。説明を聞いてビックリしたのですが、もともとはローマ近郊で作られていたチーズが、19世紀末に需要が高まった際、広大な牧草地と豊富な羊乳を確保できるサルデーニャ島へ生産の中心が移ったという歴史的経緯があるそうです。
「Lait Latteria Ittiri」のチーズは、100%サルデーニャ産の羊乳から作られ、すべてサルデーニャ北部の牧草地で育てられた羊から搾った生乳を使用しています。羊たちは、タイム、ヘリクリサム、フェンネルなど、さまざまな香草が自生する地中海の牧草地で自由に放牧され、それがミルクに独特の香りを与えています。

ペコリーノ・ロマーノを試食すると、パルミジャーノ・レッジャーノと比べて塩味が強く、余韻が長く続くのが特徴。ペコリーノ・ロマーノというとパスタ料理の“カルボナーラ”が思い浮かびますが、やはり料理に使うことで、その魅力を存分に味わえると感じました。


エミリア・ロマーニャ州やサルデー二ャ州をはじめ、郷土を愛するイタリアでは、その土地でしか味わえない食文化が大切に受け継がれています。「FOODEX JAPAN 2026」をきっかけに、これから日本に上陸する美味に注目してください。