2025年12 月にユネスコ無形文化遺産に登録された「イタリア料理」。その栄誉を祝して、ITALIANITYでは、イタリア各地で愛されている郷土料理を気鋭のシェフが調理してご紹介する新連載をスタートします。イタリアを旅するような気持ちでBuon appetito!
イタリア料理コンクール準優勝を飾った気鋭のシェフ
記念すべき連載第1弾を飾るのは、24歳にして「第16回 イタリア料理コンクール」で準優勝した菊池優也シェフ。普段は自衛隊中央病院で入院患者の食事作りを担当しながら、週に一度、一橋学園のイタリア料理『 スカルペッタ』で腕をふるっています。その菊池シェフに、一年間にわたって修行したピエモンテのリストランテ「Macallè マカッレ」で学んだ『Brasato al Barolo 牛頬肉のバローロ煮込み』を、IATLIANITYのために作っていただきました!

『Piemonte』とは、イタリア語で山の麓を表す言葉。アルプス山脈の南西に広がる州で州都はトリノ。フードの特産品ではワイン、白トリュフ、栗などが有名で、フランスに隣接しているのでフレンチの影響も受け、『スローフード』運動の発祥地としても知られています。
地元のワインで煮込んだホロホロの牛頬肉
名物料理『牛頬肉のバローロ煮込み』は、“ピエモンテのワインの王様”『Baloro バローロ』と野菜で牛頬肉をじっくり煮込んだ郷土の味わい。「マカッレ」では6時間ほど煮込んでいましたが、今回は4時間煮込んだと菊池シェフ。牛頬肉と他の肉との違いは、「牛頬肉は口の中でほどけるようなおいしさがあります」。日本では、質の良い牛頬肉を探すのが大変で、恵比寿にある専門店で仕入れてくださったそうです。


今回は、あらかじめ4時間煮込んだ牛頬肉にソースをかけながら温め直し、バターでソテーしたニンジンとズッキーニ、ジャガイモのピューレを付け合わせに盛り付けて『牛頬肉のバローロ煮込み』が完成!「乳牛がたくさん飼育されているピエモンテでは、オリーブオイルではなく、バターをふんだんに使うのも特徴です」。地元のワインを使用し、山の麓という土地柄を感じさせる煮込み料理は、ピエモンテを代表する郷土料理です。
ボリュームがあるのに、ナイフが必要ないほど柔らかくほどけた牛頬肉は、口に運ぶととろけるような食感。濃厚な赤ワインソースが肉の繊維に絡んで、寒い冬に暖かな部屋で味じっくり味わいたい美味しさです。ペアリングは、もちろん力強いフルボディのバローロがおすすめ!

山の幸や川魚料理が学べるピエモンテへ
菊池シェフがイタリアで修行するにあたり、なぜピエモンテを選んだのか?「19歳で初めて勤めたレストランがリグーリアとピエモンテ州の郷土料理を出しているお店で、もともとピエモンテ料理に興味があったことと、やっぱり山の料理、海のない州なので、僕の地元の栃木県とちょっとリンクしていることもありました」。
いずれは地元に帰ってオーナーシェフとしてイタリア料理店を経営したいと考えている菊池シェフ。「ピエモンテ州の料理を学んで、山の幸だったり川魚だったり、本場で学んだレシピを活用した料理を提案できればいいなと思ってピエモンテ州を選びました」。

ピエモンテの料理学校に通い、ミシュラン2つ星のイノベーティブ系のレストランを提案された菊池シェフ。「実は、初めにミラノのマルペンサ空港に着いてタクシーに乗って、ちょうど朝だったのでゴハンを食べてコーヒーでも飲もうと入った店がノヴァーラの「マカッレ」だったんです。そのときの印象が、まさに僕の想像していたイタリアの郷土料理のレストランっていう感じで、そこで働きたいなと思いました」。

留学期間は一年。シェフのたくさんいる大きなレストランで、イタリア語もわからない日本人がどれだけ経験を積めるのか?そんな疑問もあった菊池シェフは、偶然出会ったレストランにもう一度食事に行き、「本当にここで勉強させてほしいと思いました」。
ふたりのシェフから学んだピエモンテの郷土の味
菊池シェフが選んだのは、地元の人が記念日やお祝い事で利用するリストランテで、宿泊もできるオーベルジュでもある「マカッレ」。宿泊用の一部屋に住み込み、リストランテで働かせてもらうことになりました。
「マカッレ」の厨房スタッフは、82歳のオーナーシェフ セルジオ・ズインさんとスーシェフのマルコさん、他には忙しいときだけ手伝うシェフがいるだけ。経験は浅いものの、菊池シェフの日本人らしい器用さをみて、どんどん手伝ってくれという流れに。「朝9:30から深夜0時をまわるまで働きましたが、パスタの下準備なども担当させてもらって、本当にここで修行してよかったと思いました」。

「マカッレ」の技と秘伝が若き日本人シェフに受け継がれた、ピエモンテの郷土料理『牛頬肉のバローロ煮込み』。
次回は、ピエモンテの郷土パスタ『アニョロッティ・デル・プリン』とともに、「マカッレ」のシェフたちとのエピソードもご紹介します。お楽しみに!

菊池優也シェフ Instagram
https://www.instagram.com/yuya.cucina/