安藤忠雄をひときわ有名にした教会建築。そんな東京で唯一の名建築で、イタリアと日本でテンペラ画を学んだ服部州恵さんの個展が開催されています。「聖なる空間」でアートに触れ、本来のクリスマスに想いを寄せるひとときを過ごしてみませんか。

三角形をテーマにしたストイックな美しさの教会
東京メトロ・日比谷線の広尾駅から徒歩数分の閑静な住宅街に現れる、コンクリート打ちっぱなしのモダンな外観の建築。三角形の窓がアクセントになった21世紀キリスト宣教会は、安藤忠雄が設計・デザインを手がけた建築ということで見学を希望する人が多いのですが、あくまでも信徒の方々の信仰の場。そのため、毎週金曜日に1時間だけ、予約した方のみが見学可能な空間です。

外観はハードな印象ですが、中に入ると自然光が射し込み、その形状自体が三角形の礼拝堂は、木のぬくもりに包まれたやさしい空間となっています。まるで空中に浮かんでいるかのような細い十字架が美しい礼拝堂は、クリスチャンでなくても落ち着いた気持ちになれる安らぎに満ちています。

イタリアで学んだ服部州恵の「聖なるアート」
そんな教会で開催されている個展が、『聖なる空間Ⅱ』服部州恵。テンペラ画と油彩、金箔を駆使した、静かな中にも歓びを感じさせる作品の数々が展示されています。


イタリアのゆたかなキリスト教文化に触れた日々
美術大学時代に洗礼を受けた服部州恵さんは、キリスト教絵画の宝庫であるイタリアに留学。フィレンツェ、シエナ、トーディに滞在し、イタリア語の学校に通いながらテンペラ画や金箔の技法を学びました。空いた時間には毎日のように教会を巡り、祈りの対象である絵画や彫刻を眺め、当たり前のようにそこで過ごす人々と出会いました。

「イタリアでは、教会は祈りの場であることを中心としながら、音楽会などの文化的な営みのためにも人々が集う場所です。その姿に、日本の公民館のような、地域に開かれた役割を感じました」。信仰と絵画や音楽などのアートが自然に融合して人を楽しませ、日々の幸せを育んでいく。イタリアで暮らしながら、そんなゆたかさを実感した服部さんは、「たとえ言葉がわからなくても、絵画や彫刻、音楽によってキリスト教の教えが伝わりやすい」と感じたそうです。

「プロテスタントの教会では、信仰の在り方として、空間を簡素に保つことを大切にしてきた流れがあります。その歩みを尊びつつ、私は、日本の教でも芸術が大切に用いられていくことを願っています」と服部さんは語りました。

日本のクリスチャンだからこそ描けた『ふたつの冠』
昨年の「聖なる空間Ⅰ」では、日本にいらしてくれたイエス・キリストを聖母子の姿で描いた服部さん。今年の展覧会では、自分はいばらの冠をかぶりながら、日本の女性に祝福の花冠を授ける『ふたつの冠』を描いています。金箔が光り輝く美しい作品は、ひと目ではっと胸をつかれるようなインパクトのある作品。日本人のクリスチャンでなければ描けない傑作です。


もうひとつ印象に残る作品が、輝きを放つ金箔、青とピンクの装束も華やかな『祈りを紡ぐ』。「神の祝福を受けた少女たちが祈りを重ねることによって、今度は祝福を広げていくという想いを込めています」。発色の美しいテンペラ画と油彩、煌めく金箔が融合して、服部さんならではの世界が描き出されています。

普段は週1日・1時間だけ、予約しなければ入れない安藤忠雄設計・デザインの教会を訪れ、光り輝くアートを楽しみながら、建築や空間デザインを堪能する貴重な機会。12月25日のクリスマス当日を、今だけの「聖なる空間」で過ごしてみませんか。
聖なる空間Ⅱ テンペラ画家 服部州恵
会期:12月25日(木)12:00〜17:00 入場無料
会場 : 21世紀キリスト宣教会(東京都渋谷区広尾5-9-7)
お問い合わせ:03-6277-1257(事務局)
服部州恵 公式サイト https://sononism.com/