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中世が甦る!イタリア時空旅 Giovanni①聖夜を待ちわびるイタリアのクリスマスグッズ

Keiko Shimada

2025.12.01

扉を開けると、「ここはイタリア?」と錯覚してしまう場所が東京・吉祥寺にあります。店の名は“Giovanni ジョヴァンニ”。中世にタイムスリップしたかのような気分にひたれるショップで見つけた、まるで宝物のような文具・雑貨の数々を深掘りしていきます。



人気コミック『BAKUMAN』の表紙にも登場した名店

東京・吉祥寺の中でも、こだわりのショップが点在する中道通りにある“ジョヴァンニ”は、レオナルド・ダ・ヴィンチの時代と同じ革ノート、ダンテも使った羽ペンなど、時を超えて歴史を体感できる稀有なスポット。映画化された人気コミック『BAKUMAN』9巻の表紙にも描かれた、文具マニア垂涎の店です。

文具店ジョヴァンニのディスプレー

11月下旬のジョヴァンニのウインドーには、イエス・キリスト降誕の物語を人形で再現した『Presepio プレゼピオ』が飾られていました。生まれたばかりのキリスト、聖母マリア、義父のヨセフは必ず登場するのですが、こちらのプレゼピオは、大天使ガブリエルや東方の三博士など、すべて揃っている完成度の高い作品。筆者はプロテスタントの幼稚園に通っていたのですが、このプレゼピオを見て、毎日お祈りしていた幼い頃を急に思い出してしまいました。

店内に入ると、美しい紙製品やシーリングスタンプ、アンティークの雑貨、羽やガラスのペンが陳列されるなかに、ヴェネツィアの仮面やガーゴイルの像、中世の甲冑などがディスプレーされ、まるでイタリアの古都を訪れた気分にひたれます。

ヴェネツィアの仮面
“ザンニ”と呼ばれるコメディア・デラルテ(仮面即興喜劇)のキャラクターマスク
ガーゴイルの石像
建物の雨樋の役目を果たしていた怪物の彫刻ガーゴイル

プレゼピオを飾るイタリア流クリスマス

11月下旬から12月25日まで、期間限定でクリスマスグッズが店内を彩ります。ジョヴァンニで扱っているプレゼピオはバリエーション豊富。聖家族だけの小さなものも、心あたたまる素朴なものからガラスのドームに入ったモダンなものまで、職人の個性が感じられます。

プレゼピオ
プレゼピオ
プレゼピオ

日本ではクリスマスツリーやリースが主流ですが、イタリアやスペインではクリスマスシーズンの飾り付けはプレゼピオがメイン。今年のクリスマスは、プレゼピオを飾ってイタリア流のアドベントを楽しんでみませんか。


オーナーのこだわりを凝縮した宝箱

オーナーの高梨浩一さんがジョヴァンニを始めたのは20年前。何がきっかけでイタリアの文具に興味を持ったのでしょう。「もともと大手の文具メーカーに勤めていて、欧米の文具を輸入していたんです。そうしているうちに、どうせなら自分でやってみようかと。その中でも、アメリカやドイツは大手が強くて、フランスもそこまで職人の技が大切にされていない。やはりイタリアは国としても手厚く保護しているので、昔ながらの職人の手仕事が受け継がれていて、そこが好きなところですね」。

オーナーの高梨さん
商品の買い付けも自ら行うオーナーの高梨浩一さん

「イタリアでは、フィレンツェは聖ジョバンニ、ヴェネツィアは聖マルコなど、都市ごとに守護聖人がいて、人名にもよく使われます」。“Giovanni”という店名も、フィレンツェに多い名前からとったものだそう。「フィレンツェは紙と革と金細工の街。トスカーナの中でも、マーブルの紙製品など、紙の工房がたくさんあります」。

ジョヴァンニのクリスマスディスプレー

コロナ禍以前は、一年に1度はイタリアに行って1カ月ほど現地のアパートを借りて、色々な都市を巡りながら商品を買い付けしていた高梨さん。筆者はアレッツォのアンティーク市を訪れたことがあるのですが、「アレッツォのアンティーク市は大きくて値段も高い。もっと小さな街のアンティーク市で掘り出し物を探します」とコメント。自分の足で市場を巡り、お目当てのものを見つけたときの喜びは、何ものにも変え難い幸せな瞬間だと想像できます。

17世紀の日時計
オブジェとしても美しい日時計は、17世紀の職人が造ったもの
額装した15世紀の時祷書
15世紀フランドル地方、純金の彩色も美しい手描きの時祷書

アンティーク市を思わせる宝箱のようなジョヴァンニですが、「イタリアに行って帰って来ると『あぁ、日本だな。やっぱり何か違う。ディスプレーがなにか違うんでしょうね。色々試してはいるのですが」とつぶやいた高梨さん。筆者が感じたのは、イタリアの店と比べて明るすぎるということ。イタリアでは額縁や木彫の店、アンティークを扱うショップは、たいてい足元が危ないほど薄暗い店が多く、それが独特の雰囲気を醸し出しているからです。


実際、ジョヴァンニも当初はもっと薄暗い照明にしていたそうですが、やはり日本では店内が暗いと人が入って来ないそうで、仕方なく明るくした経緯があったとのこと。もっと薄暗い空間であのアンティークを眺めたいと思うのは、贅沢なのかもしれません。


欲しいクリスマスカードはここで見つかる!

イタリアのクリスマスカードも、他ではなかなか見つからないほど充実しているジョヴァンニ。こちらは中世風ではなく、今どきのイタリアが感じられるスタイリッシュなクリスマスカードがずらりと並んでいます。

イタリアのクリスマスカード

一つずつ窓を開けていくアドベントカレンダーもラインナップ。聖夜を待ちわびる気持ちが高まるカレンダーは、子どもから大人まで、大切な人へのギフトにぴったりです。

アドベントカレンダー
聖夜までのカウントダウンも楽しいアドベントカレンダー

中世から受け継がれる技を、今なお自然な形で守り続ける職人と、それを愛用し続けるイタリアの人々。その美しい結晶や神秘的なアンティークグッズと出会える宝箱のようなショップ“Giovanni”。次回は、ジョヴァンニが誇る『シーリングスタンプ』について深掘りします。お楽しみに。


Giovanni ジョヴァンニ

〒180-0004
東京都武蔵野市吉祥寺本町4-13-2

電話0422-20-0171

12:00-19:00 (水曜定休)


公式サイト

https://www.giovanni.jp/?srsltid=AfmBOoo1SdsDECR1qURoH7_yB7DxJzcBtOMf2E8lTj3Bb6yqmyy9F9pY