
今回は、イタリア人のクリスマスプレゼント事情をご紹介します。
日本人が驚く!? イタリアのプレゼント事情
私の住む街、フィレンツェの中心街はイルミネーションで飾られ、クリスマスムードが漂うようになりました。そこで今回は、イタリア人はどんなプレゼントを贈っているのか?をテーマにしたいと思います。
「アモーレの国なんだし、なんか素敵なものを贈っていそう!?」と期待してしまうかもしれませんが、結論から言うと日本とたいして変わらない。むしろ「これってありなの……?」というものもけっこうあるというのが正直な感想。
ですからクリスマスプレゼントのアイデアとしてあまり参考にはならないかもしれません。が、これぞあなたの知らないイタリア。それでは、私がこれまで見てきたイタリア人のプレゼントについて紹介したいと思います。

サイズに注意!服や靴を贈る文化
イタリア人のギフトで意外に多いのは、ニットやカットソーといったような洋服。サイズによっては着られない場合がありますが、一緒に買い物に行ったり自分のサイズを教えたことが無い相手からもいただくので少々驚いてしまいます。中には靴を贈るという人もいるほどで、「あああ〜入らない……」というサイズのものや「これはいつ着ればいいのか……」というものもあります。
そういう時は「え?入らなそう?それでも大丈夫!サイズが合わなかったらお店で交換できるように店員さんと交渉してあるから」とか「もし気に入らなかったら、このレシートを持っていって自分の好みの洋服と交換していいからね!」と言われるのですが、この回答にもまたまた驚いてしまいます。
もちろんレシートには値段は記載されていませんが、交換しに行けば値段はわかってしまいますし、「そう言われてもせっかく選んでくれたものを交換しに行くのはなんとなく気が引けるなあ……」ともらう度に気を使いまくってしまいます。

アクセサリーやバッグは定番ギフト
サイズを問わず普段身につけられるアイテムは日本と同様にイタリアでもプレゼントの定番です。
特に男女間ではアクセサリーを贈りあうことが多く、バレンタインデー前ともなると毎年フィレンツェでもティファニーショップの前に男性客がずらっと列を作るのが風物詩となっており、「列を作って並ぶことが嫌いなイタリア人でも彼女に恨まれるよりは列に並ぶ方を選ぶのねえ」と微笑ましく思います。
また男女間だけでなく同性の友人からもアクセサリーのプレゼントはよく頂きますが、贈る相手に似合いそうというものよりも、贈る側の趣味が色濃い場合が多い気がします。ゴスロリ風のピアスなど、けっこう攻めている趣味のアクセサリーを貰った時は「これは本気なのかジョークなのか」と反応に悩んだりもしました。
ちなみにイタリアではどんな職業であろうと、身なりに関してはおおらかな国なのでアクセサリー使いもかなり自由。公務員でも銀行員でも郵便局員でもスーパーの店員でも、ブレスレットをじゃらじゃら何重にも重ねたり、大ぶりの派手なイヤリングをつけて仕事をしている人がたくさんいます。なので、「このアクセサリーだと普段使いとして厳しいかなあ」といったような心配はほぼありません。

クリスマスギフトの大本命は香水
クリスマス前ともなると、ネットでもテレビでも雑誌でもやたらと目につくようになるのが香水のCM。
デパートでも香水とボディクリームのギフトセットなどが店頭に並び、クリスマスギフトとして香水は大本命のようです。
イタリア人の友人の中には「私は香水をつけないのに、毎年クリスマスプレゼントに香水を贈ってくる叔母さんがいて本当に困るのよね……」とボヤいている人もいるので実際によくプレゼントされているようです。
クリスマスシーズンの本屋は大混雑!
それから子供からお年寄りまで万人幅広い年代層にOKのプレゼントとして人気なのが書籍です。
子供には絵本類、大人には小説から料理など趣味の本や写真集など幅広い選択があり、お値段もお手頃なので本は私もよくいただきます。
日本の本屋と同じくイタリアの本屋も書籍だけでなく、文具やおもちゃなどプレゼントになるような商品が色々販売されている場合が多いので、クリスマス前は大混雑します。レジとは別にラッピングコーナーが設けられるのでそこでギフト包装もしてくれます。
余談ですが、本屋でイタリア人のお客がギフト用にお勧めの本をイタリア人の書店員に尋ねている場面に出くわしたことがありますが、その時に店員が勧めたのは「Murakami」。思わず「おおお〜」と感動したのですが、世界的人気の村上春樹氏の本はイタリアの書店でもコーナーができるほど人気があります。

仕事関係やお歳暮にはフードの詰め合わせ
イタリアにも日本のお歳暮のような習慣があるのですが、仕事がクリスマス休暇に入る前に贈られます。私も取引先のイタリア企業から毎年頂いていますが、お歳暮はクリスマスやお正月に楽しめるパネットーネやワインなど食べ物の詰め合わせギフトが一般的です。

イタリアのクリスマスギフトは「気持ちが大切」
さて、イタリアにおけるプレゼント事情をざっと書いてみました。個人的な意見ですが、どちらかといえばイタリア人は自分が好きなものや自分が贈ってみたいものを贈る場合が多い気がなんとなくします。
まだイタリア語があまりできなかった頃に、イタリア人からイタリア語で書かれた分厚い本をプレゼントされて、「これを読めるようになるのは何年後だろうか……」と思ったり、大きくとてつもなく重い写真集を頂いて苦労して持ち帰ったなど、なかなか反応に困る場合もありました。
ですが、一生懸命選んでくれた気持ちが嬉しいわけで、結局のところプレゼントは世界共通で「なんでもあり、気持ちの問題!」なんだと思います。
とかいいつつ、イタリア人の友人から「どうしよう〜。チュニジア人の知り合いから民族衣装をもらったんだけど、これってどうすりゃいいの〜!?」と、ど派手な衣装を手にし、困り顔でオロオロしながら相談された時はつい笑ってしまいました。イタリア国内でそれを身にまとうシチュエーションはさすがに思いつかないな〜と、彼女の心中を察した次第でございます。結局、彼女はあの衣装をどうしたのだろうか……。

靴下にプレゼントを入れるのは1月6日のエピファニア
ちなみに日本ではクリスマスには靴下を吊るして、煙突から入ってきたサンタクロースが靴下の中にプレゼントを入れてくれるとなっていますが、イタリアでは全く話が違います。
靴下の中にプレゼントを入れる習慣はクリスマスから約2週間後の1月6日のエピファニアの日。しかもプレゼントを入れるのはサンタクロースではなくベファーナという魔女。その年の行いが良かった子供には嬉しいプレゼント、行いが悪かった子供には炭を靴下の中に入れるというもの。クリスマスにイタリア人に靴下にプレゼントを入れて手渡すと「なんで?」となってしまいますのでお気をつけくださいませ。
*この記事は2019年12月に書かれたものです。