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イタリアとの出会いでアーティストへ NORIKO HERRONのガラスアート

Keiko Shimada

2025.06.17

ガラスならではの繊細な輝きを、大胆なデザインで表現するガラス・アーティスト、NORIKO HERRON。彼女の原点は、街そのものがアートのようなイタリアでの暮らしにありました。


ヴェネツィアの展示会でも注目の的

2023年8月、NORIKOさんはガラスジュエリー展に参加するため、ヴェネツィアに滞在していました。8月31日から約3週間にわたって開催された「THE TRANSPARENT BREATH」は、昔は宮殿だった美しいホテルを会場に、世界各国の作家によるアーティスティックなジュエリーが一堂に会する華やかな展示会。


「ヴェネツィアは思い出深い場所で、実は結婚式も挙げたのですが、そのとき出会った小さなシャンデリアがきっかけでガラス作品を創るようになりました」。創作の原点ともいうべき地にアーティストとして帰還し、世界のガラス作家と交流し、たくさんの人に作品を紹介できる歓び。NIRIKOさんにとって、このヴェネツィアへの旅は、アーティストとして大きなステップとなりました。


DCブランドのデザイナーだった20代

神戸出身のNORIKOさんは、大手のアパレルメーカーに就職し、主にニットのデザインや柄の図案を手がけるデザイナーに。その後、東京に転勤してからは、当時全盛期だったDCブランドを担当し、モード系のファッションをデザインしていました。


アパレルメーカーを退職した20代半ばの頃、数ヵ月かけてヨーロッパを一人で旅したNORIKOさん。「アートが好きだったので、どの国、どの街に行っても美術館はたくさん巡りました」。ファッションリポート的な仕事を依頼されていたこともあり、初めはパリに住もうと考えていましたが、ヴェネツィア、フィレンツェ、ミラノを巡り、すっかり気に入ってしまったイタリアに滞在することに。イタリア語を学ぶために、大学の街であるペルージャで暮らし始めました。


アートにひたり自由を謳歌したイタリア留学

ペルージャは中世の街並がそのまま残る美しい小さな街で、大学生が遊びに行くクラブも、洞窟のような空間だったり、日本人にとってはミステリアスで街そのものがアートのような場所。イタリア語を学ぶためにペルージャを選んだNORIKOさんですが、毎日パーティで遊びまくり、思ったほど勉強に集中することはできなかったそうです。


あるとき、ミラノのドゥオモ前広場で、地面に絵を描いている20歳ぐらいの男の子と出会ったNORIKOさん。チョークを使って宗教画を精密に描いている様子を夢中になって眺めていると、いつの間にか観客はNORIKOさん一人になり、その男の子とおしゃべりしていると「うちに来る?」と誘われたそう。「少し不安ながらも、冒険心が先に立って付いて行ってしまったところ…そこは家族で暮らしている家で、『うちでゴハンを食べて行きなさい』と大歓迎されて。そのまま知らない人の家でご馳走になったこともありましたね」。家族を愛し、家族で過ごす時間を大切にする。そんなイタリア人のライフスタイルに触れるうちに、ますますイタリアを好きになっていったそうです。


イタリアで受け継がれる職人の技

イタリアを旅していると、街中に職人さんたちの工房がたくさんあり、仕事をしているのが見えて、思わず立ち止まって見惚れてしまうことがあります。NORIKOさんが3年暮らしたフィレンツェも、木工や金属の工房がたくさんある街。日本で結婚後、「人がやっていないことをやりたい」と思ってチャレンジしたシャンデリア創りで、フィレンツェのシャンデリア会社とのコラボレーションが実現しました。


シャンデリアの枠に木を使用する場合、天然木そのままでは重くなってしまうので、パスタと呼ばれる粉状の木をペーストにしたもので外側を塗り固めます。NORIKOさんがデザインしたシャンデリアの枠をフィレンツェの会社に依頼し、手作業で造ったガラスのパーツを取り付けてガラスアートのシャンデリアが完成。現在では、日本の鉄職人に依頼した枠やビニールワイヤーなど、さまざまな素材を使って制作しています。


シャンデリアのパーツから生まれたジュエリー

シャンデリアから始まり、廃材を再利用したレリーフアートへとつながったNIRIKOさんのガラスアート。ディスプレイ用に創ったジュエリーが反響を呼び、ジュエリーも数多く手がけるようになりました。


NORIKOさんのガラスアートは、管ガラスと呼ばれる筒状のガラスをバーナーであぶり、溶けたところを鋏で切って成形していくスタイル。ひとつのシャンデリアを完成させるためには、何百回も同じ作業を繰り返す必要があります。すべてハンドメイドによる作品は、ひとつとして同じものがない唯一無二の輝きを放ち、オーダーメイドによる制作も可能です。


光とガラスが戯れるショールーム

東京・原宿から北参道にかけての閑静な住宅街にあるギャラリー。穏やかに射し込む自然光が、ゆらぐ影となって時間とともに印象が変わるその空間では、シャンデリアからレリーフアート、ジュエリーまで、おびただしい数のガラスアートが光を放っていました。


イタリアで出会ったガラスに魅せられ、自らガラス・アーティストとなったNORIKO HERRON。作家物でありながら、宝石を使っているものよりも手頃で、驚くほど軽い付け心地のガラスジュエリー。ショールームを訪れて、世界にひとつだけの輝きに触れてみませんか。

ガラスアートが飾られたショールーム

NORIKO HERRON Glass + Art Showroom

Exhibition

Dancing Light, Floating Time

6月20日(金)〜28日(土) 12:30 – 18:30

*上記以外の日程でもご案内可能

📍〒151- 0051

東京都渋谷区千駄ヶ谷3-8-6 

Lapis 原宿1階店舗部分

(東京メトロ副都心線「北参道駅」3番出口より徒歩4分)


NORIKOHERRON公式サイト

https://www.norikoherron.com/

NORIKO HERRON Instagram

https://www.instagram.com/norikoherron/