2025年5月24日まで、丸紅ギャラリーで「ボッティチェリ 美しきシモネッタ」特別公開展が開催中。東京国立近代美術館で例年開催される「美術館の春まつり」と連携し、日本で唯一のサンドロ・ボッティチェリのテンペラ画を特別公開します。そんな、この春に絶対に観たい貴重な展示会をご紹介します。

「ヴィーナスの誕生」で有名な画家、ボッティチェリ
15世紀のイタリア・フィレンツェで活躍したルネサンス期の画家、サンドロ・ボッティチェリ。神話や宗教をテーマに、繊細で幻想的な作品を多数描いたボッティチェリの作品の中でも、ウフィッツィ美術館に所蔵されている「ヴィーナスの誕生」や「春(プリマヴェーラ)」は特に有名な代表作。その他の作品も同様、今もなお多くの人を魅了し続けています。

そんなボッティチェリですが、日本で所蔵されている作品が、たった一枚ということをご存じでしょうか?
その理由は、多くの作品がイタリア国内の美術館に大切に収蔵され、国外に渡ることがほとんどなかったため。
もちろん、イギリスやフランス、アメリカなどの美術館にも一部所蔵されていますが、鑑賞できる機会は限られています。
そんな中、日本で唯一ボッティチェリの作品を所蔵する丸紅ギャラリーで、この度特別展を開催。
本展示会は、彼の作品に観ることが出来る貴重な機会として注目されています。

横顔の女性は一体だれ?
本展で特別展示される「美しきシモネッタ」。そのモデルとされるのは、ルネサンス期に実在した伝説の美女、シモネッタ・ヴェスプッチという女性です。彼女は15世紀のイタリア・フィレンツェで絶世の美貌を誇り、メディチ家の庇護のもと、芸術家たちのミューズとなりました。「プリマヴェーラ(春)」や「ヴィーナスの誕生」のモデルともいわれており、「ルネサンスの春」を象徴する存在でした。しかし、わずか23歳という若さでこの世を去り、その死は多くの人々に衝撃を与えました。
生涯独身を貫いたボッティチェリは、彼女の死後もその美を作品に描き続けたと言われています。今回展示される作品「美しきシモネッタ」も、彼のシモネッタへの深い敬愛の念を感じさせると同時に、フィレンツェ市民をはじめ、世界中の人々にシモネッタの美貌を知らしめる作品のひとつと言えるでしょう。
記念すべき年の特別展
本展示会は、ボッティチェリ研究の世界的権威である矢代幸雄氏の没後50年、およびシモネッタが登場する小説『春の戴冠』の著者・辻邦生氏の生誕100年を記念する形で開催されます。また、同時期に奈良県の大和文華館にて「特別展 没後50年 矢代幸雄と大和文華館-芸術を愛する喜び-」が開催される予定です。

なお「美しきシモネッタ」の特別公開は、2022年の「開館記念展Ⅲ ボッティチェリ特別展《美しきシモネッタ》」以来2度目となります。今回の展示では、本作品の来歴をたどるとともに、他のシモネッタの肖像画との比較や、科学鑑定を通じた解釈など、より深く作品への理解を深めていただけます。
シモネッタ・ヴェスプッチという女性の物語。500年以上経っても色褪せないボッティチェリが描いた美の極致を、ぜひ会場でご体感ください。
<本展開催概要>
開催会場・主催 丸紅ギャラリー
開催期間 2025年3月18日(火)~5月24日(土)
開館時間 10時~17時(入館は 16時半まで)
休館日 日曜日・祝日
入館料 一般500円(高校生以下無料)
※障がい者手帳をお持ちの方と介助者の方1名は無料
※着物、浴衣など、和装でご来館の方は無料
※入館料は全額、社会福祉法人丸紅基金に寄付されます。
※現金利用不可。交通系IC、クレジットカード、QRコード決済などキャッシュレス決済をご利用ください。