「ドルチェットを巡る旅」後編はディアーノ・ダルバ
イタリアワインの格付けにおいて最も厳正な規定が設けられている、いわばイタリアワインの最高峰に位置するのがDOCG(原産地呼称保証付き統制ワイン)。このプレミアムなワインと、そのワインが生まれた地を、イタリアワインの輸入・販売を手掛けるVino Hayashi発行の【月刊DOCG】の協力のもと、その一部をご紹介する特別連載がこちらです。
前回はピエモンテ州のOVADA(オヴァダ)をご紹介しましたが、その後編としてDIANO D’ALBA(ディアーノ・ダルバ)を歩き、そこでドルチェットを使ったDOCGを飲んでみましょう。
ドルチェットの街ディアーノ・ダルバを歩く
なだらかな丘陵地帯のディアーノ・ダルバ。きれいに整備されたブドウ畑が広がります。
丘の上に建つバッロキアーレ教会は、1763年の建立。
ディアーノ・ダルバ市役所そばのエノテカ「イ・ソリ・ディ・ディアーノ・ダルバ」。ディアーノ・ダルバのほとんどの生産者のワインがここに揃っています。
歴史的建造物の貯蔵庫に置かれる赤ワイン熟成用のバリック。
高台のベルヴェデーレ広場からは、世界遺産にも登録された城を持つグリンザーネ・カブールの町や、バローロの生産エリアを眺めることができました。
ディアーノ・ダルバDOCGの基礎知識
生産地はブドウ畑の景観がユネスコ世界遺産に尊くされたランゲ地方の中心都市、アルバの南側に位置します。2つの川に挟まれて形成されている非常に限定された小さなエリアです。
バローロの生産エリアも近く、バローロとディアーノ・ダルバの両方を造っている生産者も何件か見られます。
ワインはフレッシュさに加えミネラル感があります。1~2年熟成するとより骨格やスパイシーさが現れます。タンニンは強すぎず、華やかでエレガントな仕上がりの印象です。
Diano d'AlbaのドルチェットはすべてDOCGとなります。
※ラベル表記 “Dolcetto di Diano d'Alba”もしくは“Diano d'Alba”。Diano d'Alba=ドルチェットという概念として、近年ではラベルの記載から“Dolcetto di”を名乗る必要はなくなりました。特定の畑(ソリ)はその畑名をラベルに表記することができます。
地形と風土
アルバの町の南に位置する人口約3,600人の小さなコムーネ「ディアーノ・ダルバ」。現在町の中心となっている丘には、かつて「ダイアナの森」がありました。ダイアナとは古代ローマ人とリグーリア人にとって「狩猟の女神」であり、イタリア語ではDiana(ディアーナ)。これがこの町の名前の由来となっています。
高台のベルヴェデーレ広場からは、世界遺産にも登録された城で有名なグリンザーネ・カブールの町や、バローロの生産エリアを眺めることができます。
ディアーノ・ダルバのブドウ畑は標高約500mの丘から東側に位置するリッカ、西側に位置するヴァッレ・タッロイアという集落の方向へ向かって下る斜面一体に広がっています。
主にピエモンテ州で使われるソリという言葉は「とても日当たりの良い場所」という意味を持ち、ブドウ栽培に適した地域であることを示します。ディアーノ・ダルバでは1996年にソリの協会ができ、今日では76にも及ぶソリが認められていることが特徴です(バルバレスDOCGのクリュ数は69)。特定のソリのブドウで造られたワインにはラベルにソリ名を示すことができます。
今月のワイン
ブランディ・ジョヴァンニ ドルチェット・ディ・ディアーノ・ダルバ
ディアーノ・ダルバのエリア内北西に位置するソリ・クリスティーナ。標高350mに位置する畑は僅か1.2ヘクタールで、南西向きの石灰質土壌。ブドウは9月末に収穫します。
発酵は香りを大切にするために20℃で1週間ほど行います。その後ステンレスタンクを5~6回交換しながら10ヶ月間熟成します。
スミレやカシスのような香り。黒果味の凝縮感があり、タンニンは強すぎずエレガント。ブドウの樹齢は50~90年と大変古く、ミネラル感に溢れた味わいに仕上がっています。年間生産本数は5000本。
ヴィンテージ:2017 アルコール度数:14.0% ブドウ品種:ドルチェット100% 畑名:Sörì Cristina(ソリ クリスティーナ) 希望小売価格:3600円(税別)
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【月刊DOCG】とは?
希少で個性豊かなイタリアワインの輸入・販売を行う株式会社Vino Hayashiによる、イタリアの「地酒」の最高峰であるDOCG銘柄のワインと、生産地の旅情報を掲載したマガジン【月刊DOCG】を2019年3月から発行しています。約5年で全74銘柄を網羅する予定。メジャーなのにマニアックなDOCGワインの旅へあなたをお連れします。ライターはイタリアソムリエ協会認定ソムリエの鶴岡 恵さん。
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