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ガンベロ・ロッソ初の日本人審査員、ソムリエ佐藤百香合さんへインタビュー
この冬おすすめの赤ワインはこれ!

イタリアで最も影響力のあるワインガイドといえば、ガンベロ・ロッソ社による「ヴィニ・ディ・イタリア(Vini di Italia)」。
イタリア各地から厳選されて送られたワインを、3つ星ならぬビッケーレ(イタリア語でグラスを意味する)の数で3段階と評価なしの4段階で評価し、翌年のガイドブックとして10月下旬に発行されます。
今回は、2021年度ヴィニ・ディ・イタリアにて初の日本人として審査員に抜擢されたソムリエの佐藤百香合(さとうゆかり)さんにこの冬オススメの赤ワインを伺いました。

ガンベロ・ロッソ オフィシャルウェブサイト
https://www.gamberorosso.it

ーーー審査に当たり合計で何種類のワインを試飲しましたか?

ワインの審査では1日40〜50種類を一ヶ月半にわたり試飲します。
各州の地方ごとで試飲するチームが別れて実施されていて、私はピエモンテ州のランゲ地方のチームとして参加しました。

ーーー今回の審査で飲んだおすすめ赤ワインを3つ教えて下さい。

1.ソクレ「バルバレスコ ロンカッリエ リゼルヴァ 2015」
Socrè Barbaresco Roncaglie riserva 2015

今回の試飲でとにかく印象的だったのが、ソクレ バルバレスコ ロンカッリエ リゼルヴァで、今回初めてトレ・ビッケーリ(Tre bicchieri)の最高評価を獲得しました。
バルバレスコなのに、まるでスーパータスカンと思わせるほどパワフルで凝縮された果実味と弾け出る香りの強さが印象的でした。
香りのインパクトを裏切らない果実味と骨格と余韻の長さもポイント。熟したチェリー、干し葡萄の凝縮された果実味にもかかわらず疲れさせないミントのフレッシュ感があとから現れほどよく調和された、久しぶりに「おー!」と驚いたワインです。

日本料理であればモツ味噌煮込みや焼き鳥(タレで味付けしたねぎま、つくね、レバーなど)などくせのある料理との相性も抜群です。味噌とモツのこってりした旨味をバルバレスコがまろやかに包みこみます。

2.プルノット「モンペルトーネ モンフェッラート・ロッソ 2017」
Prunotto Mompertone Monferrato Rosso 2017

メルローを思わせる完全濃縮ブラックチェリー。私は有無を言わせず92点をつけさせていただきました。
(90点以上は最終選考に進み、最終審査員により採点されます。)

3.パッラディーノ 「バローロ パラファーダ 2016」
Palladino Barolo Parafada 2016

不動の安定感を維持し裏切らないセッラルンガ村の伝統派バローロ生産者です。上品でフレッシュなラズベリーの香りが心地よく残ります。

ーーーワインを審査するにあたって最も重要視したことは?

審査側の方針に則り、「香り」において少しでも欠陥のあるワインは容赦なく落とすということ。また、試飲の後半疲れてきても新鮮な気持ちで主観をとり、香りを拾うことに集中することを心がけました。

ーーー最期に座右の銘や、今後の目標があれば聞かせてください。

「一本のワインボトルの中には、すべての書物にある哲学が存在する。」
これは、私の好きな格言の一つです。
先人の格言を胸に日々モチベーションを高く、振り返らず、好奇心を常に持ち訪れるチャンスを待っています。
今はレストランでワインをおすすめする仕事をしていますが、今後はさらに深くワインを作る人達の世界や思考を知り、もっと多くの人にワインの魅力を伝えられたらなと思っています。

ソムリエ 佐藤百香合(さとうゆかり)さん

ガンベロ・ロッソ日本人初審査員ソムリエ(21年度)
AISソムリエ協会認定ソムリエ。WSET2取得。
SSA協会認定酒ソムリエ。SakeエキスパートJSA取得。
ピエモンテ州トリノのRistorante di Circolo dei lettori にてソムリエとして勤務中。

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