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美食で世界を変える。サンペレグリノが若き才能と歩む食文化の未来

赤い星の目印がついたスパークリングナチュラルミネラルウオーターで有名な、イタリアのサンペレグリノ。同社は世界中から30歳以下の才能ある若手シェフを見出し、育成することを目的としたグローバルイニシアチブ「サンペレグリノ ヤングシェフアカデミー」を運営し、国際料理コンクールを開催しています。第6回となる「2024-2025アジア地区大会」に先駆け、日本から選出された一之瀬愛衣シェフのシグネチャーディッシュの試食会が開かれ、料理研究家やグルメインフルエンサーのゲストたちが駆けつけました。


イタリア料理の名店で開催された美食のプレゼンテーション

「美食は世界を変え、より多様で持続可能な未来を形作る可能性を秘めている」。イタリアを代表する飲料メーカーであるサンペレグリノは、次世代の料理の才能を惹きつけ、結びつけ、育成するためのプラットフォームとして「サンペレグリノ ヤングシェフアカデミー」を設立。70カ国以上のメンバーに門戸を開き、情熱的な若いシェフたちが、地理的な理由や民族、性別で制限されることなく、世界中の美食界で最も影響力のあるキーパーソンたちと交流し、共に刺激的な料理コミュニティを育む場としています。


その一環として開催されるコンクールのアジア地区大会を目前にひかえ、2024年10月22日に開催された試食会。会場となったのは、丸の内ビルディング36階にあるイタリア料理の有名店、アンティカ・オステリア・デル・ポンテ。世界的に著名なシェフ、エツィオ・サンティンの美食が楽しめるミラノの名店唯一の支店であり、貴族の館の一部を移築した重厚なエントランスホールをはじめ、クラシカルなエレガンスを感じさせる店舗空間がイタリアの真髄を伝えます。


イタリアの貴族の館に招かれたような印象を与える、アンティカ・オステリア・デル・ポンテのインテリア

「サンペレグリノ ヤングシェフアカデミー」国際料理コンクールは、一皿のシグネチャーディッシュで競うコンペティション。味わいはもちろん、見た目の美しさ、香り、演出、英語によるプレゼンテーションまで含めて審査の対象となるため、自慢の一皿の魅力をいかにして審査員に伝えるかも大切な要素です。2025年10月にミラノで開催されるグローバルの決勝大会での優勝者は、世界各国で開催されるサンペレグリノのイベントに参加するなどスケールの大きな舞台が用意され、スターシェフへの登竜門となっています。



滋賀産の近江牛をはじめ、素材にこだわった珠玉の一皿

英語と日本語による一之瀬シェフのプレゼンテーションを聞きながら、料理研究家やグルメ関連のインフルエンサーなど、食に関する深い造詣をもつゲストによる試食がスタートしました。シグネチャーディッシュのテーマは「Hopes for the Future of Food」。日本の伝統とフレンチの技を融合させながら、持続可能な未来への想いも託した一皿となっています。


料理を引き立てる盛り付けもシグネチャーディッシュの重要なポイント

滋賀県出身の一之瀬シェフらしく、近江牛を滋賀産の味噌でマリネし、青魚を発酵させた「へしこ」をトッピング。しっかりした食感の牛肉に味噌によって旨みと香ばしさが加わり、滋味あふれる味わいが口いっぱいに広がります。


フレンチを代表するオランデーズソース、酸味と甘味が絶妙なさくらんぼのコンディモンを添えて、味と風味の変化を楽しむ伝統的なフレンチの技。手毬を模したアッシェパルマンとハーブのサラダは、焦がし醤油が香ばしいアーモンドのドレッシングがアクセントとなり、強い印象を残しました。日本の食材がフレンチのテクニックで新しい魅力へと進化した一皿は、「未来の食の希望」を表現していると言えるでしょう。

一之瀬シェフ渾身のシグネチャーディッシュは近江牛の味噌マリネが主役

シグネチャーディッシュには美しい和紙の巻物が添えられ、紐解くと「Miso-zuke」「Temari」など、1枚1枚に自ら手描きしたイラストと説明文が現れました。「食べた後で巻物を見て、記憶に残るようにしたかった」と語る一之瀬シェフ。きめ細やかな心づかいには、日本人ならではのおもてなしの想いが込められています。

1枚1枚、心を込めて手描きされ、ストーリーを感じさせる巻物

ゲストの率直なアドバイスが若手シェフの成長を後押し

京都の「LURRA°(ルーラ)」で働いた後、フリーランスのシェフとして、シークレットレストランなどで活躍してきた一之瀬シェフ。日本はもちろん、ミシュラン三つ星レストランに食材を提供するパリ郊外の山下農園、ギリシャのオリーブ園など、世界の生産者とも交流を結んでいるそうです。


一之瀬シェフのメンターを務めたのは、アンティカ・オステリア・デル・ポンテ 丸の内店の総料理長、ステファノ・ダル・モーロ氏。クラシックかつモダンなイタリアンの世界を築いた名シェフは、主に盛り付けや日本の食材とフレンチの技のバランスについてアドバイス。新しい感覚の一皿を完成させるためにサポートしました。

プレゼンテーションする一之瀬シェフと、メンターを務めたステファノ・ダル・モーロ氏

食にこだわりをもつゲストたちからは、とても美味しかったという評価に加え、辛口の意見も飛び出しました。「肉の提供温度が気になった」「10名の料理を審査するため、審査員が口にするのはわずか一口。それだけでインパクトを与える必要がある」など、アジア地区大会に向けての課題が示されました。一之瀬シェフからは、「食材の香りにも影響を与えるので、温度については丁寧に考えたい。今日いただいたアドバイスを検討して、本番のコンクールに活かしていきたい」という前向きな言葉が述べられました。


大きな経験を積んだ若手シェフたちの新たなスタート

10月28日、香港で開催されたアジア地区大会では、香港「Belon」のアーディ・ファーガソン氏が優勝し、グローバルの決勝大会へのチケットを手に入れました。一之瀬シェフは、試食会で指摘のあった温度について、温めた石の上に一切れの肉をのせる工夫を加えてコンクールに臨んで健闘。惜しくも入賞は逃しましたが、和食の繊細な魅力を取り入れた新たなフレンチ、心のこもったプレゼンテーションは、新鮮な風として受け止められました。

優勝した香港「Belon」のアーディ・ファーガソン氏を参加した若手シェフが祝福

シークレットレストランに加え、リゾート地のオーベルジュや船上レストランなど、世界を巡りながら、幅広いゲストに料理を提供したいと考えている一之瀬シェフ。「生まれ育った日本の伝統や食文化とフランス料理を融合させ、新しい土地での出会いや思い出も表現しながら世界に発信していきたい」。グローバルなコンクールを経験して、ここから新たなステージへ向けてスタートします。

アジア地区大会にエントリーした一之瀬シェフのシグネチャーディッシュ

「私たちは新世代のヤングシェフたちの才能と創造性に非常に感銘を受けており、彼らが持ち込む新しいアイデアや洗練された技術に驚かされています。彼らに成長の場や新たな機会を提供し、料理を通じて物語を伝える場を与えることができるのは喜びです」と語ったのは、サンペレグリノ APACゾーン ディレクター、ロベルト・カローニ氏。未来を担う世代を支える活動によって、豊かな食文化に貢献したいというサンペレグリノの強い想いが伝わってきました。