INTERVIEW
FILM 09 Mar 2021

映画を通して物語に息を吹き込むイタリア人撮影監督アレッシオ・ヴァローリ


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独占インタビュー | Alessio Valori(アレッシオ・ヴァローリ) ・ シネマトグラファー/撮影監督


Dior Teaser Movie / 撮影: Alessio Valori

この動画は、イタリア人のシネマトグラファー、アレッシオ・ヴァローリがディレクター、アリーナ・マラッツィと共同制作したものです。 動画制作に生涯を捧げている彼は、スターウォーズでも有名な、長井シーナ志保子マーク・ハミル、2度のオスカー受賞に輝くボビー・モレスコ監督、そしてディオールやグッチなどの世界的なブランドなど、様々な有名人、有名ブランドとの仕事をこなしてきました。 今回のインタビューでは、彼がシネマトグラファーを志したきっかけや、プロとしての動画制作に関する考え方などを語っていただきました。

瞬間的に訪れた情熱: シネマトグラファーを目指すきっかけとは

アレッシオ・ヴァローリは、イタリアのトスカーナ地方、フィレンツェ近郊のヴィンチという街で育ちます。 19歳の時、ヴィンチを離れ、都市であるボローニャに移りました。 様々なメディアからの膨大な情報やカルチャーシーンに感銘を受けた彼は、シネマトグラファーへの道を歩み始めます。

彼は、大学で映画の歴史と評論、そして著名な映画で使われている多様な撮影方法を学びます。 卒業後、より深い技術を身につけたいと考え、3ヶ月間のシネマトグラフィー集中講座を受講、そこでの実地訓練授業は、彼の作る作品に大きな進化を与えました。

この世界での経験を深めるため、その後彼は数ヶ月の間、動画機材のレンタル会社で働きはじめ、自身の情熱やスキルを確立させていきました。 そして転機が訪れます。 ボローニャの動画制作会社から、映画作りに関わる機会のオファーを受けたのです。

実際にこの目で映画製作のセットを見てみたかったし、どのように映画が作られていくのか、その全ての過程に興味があったからね。

映画のセットを前に、自分が何の役割で動くのかを決めるためには時間がかかりました。 でも、その撮影初日、撮影監督であったジャン・フィリッポ・コルティチェッリの素晴らしい撮影技術を目の当たりにして、自分が何をしたいかに思い至ったことをまだ鮮明に覚えているそうです。

撮影監督は、照明やカメラの動き、そして映画の見栄えなど、ビジュアル要素に関わる事全てに責任を持つんだ。 ジャン・フィリッポの仕事は、それ自体、一本の映画を見ているみたいだったよ。 すべてのシーンで、細部にまでのこだわりと、素晴らしいクリエイティビティを発揮していたね。

アレッシオは、そこでいわゆる「カチンコ係(clapper loader) 」として、セコンドのアシスタントカメラマンの役割を担います。 映画業界で上を目指すのは生半可なことではありません。 しかし彼はその業界で5年間、映画の撮影技術を学んだのです。 そして26歳の時、ついに撮影監督のオファーを手にします。

DOP(撮影監督)として

撮影監督として、彼は、コマーシャルから商業映画まで、様々なプロジェクトをこなしていきました。 監督の実現したい事を実現させるため、常に監督とは密接に働いてきました。

監督と同じビジョンを共有する事は、とても大事な事なんだ。僕が撮影するカットは、まさに監督がフィルムの中に収めたかったシーンでなければならないからね。

アレッシオは、スターウォーズのルーク・スカイウォーカー役で有名なマーク・ハミルを起用して制作された「Airborne (邦題: パニック・ゾーン 制御不能)」で、ドミニク・バーンズ監督とも仕事をしています。


Airborne (邦題: パニック・ゾーン 制御不能)」 の1シーン

イタリア映画界に関して

撮影監督として、様々な事を学んできましたし、その経験を楽しんできました。 無論、彼の故郷でもあり、彼が敬愛する監督を何人も世に送り出したイタリアの映画業界での経験は、彼に特に強い印象を残しています。

イタリアの映画業界には、絶対に見逃せない、僕が強く推す監督が2人いるんだ。 1人は、マッテオ・ガローネ監督。 そしてもう1人は、パオロ・ソレンティーノ監督さ。 ソレンティーノ監督はものすごく技術に凝る監督で、様々なショッキングな映像をモノにしているよ。 一方、ガローネ監督は、よりドキュメンタリータッチの映像を得意とする監督さ。 実際、ガローネ監督自身がカメラを持って撮影した生々しい映像の作品も多くあるし、彼は映画の中のキャラクターとより親密で直接的なコネクションを築くんだ。 2人とも、全く違う個性を持った監督だけど、でも非常に画期的で、しかも美しい映画を撮る監督なんだ。

イタリアの映画産業には、様々な文化、感情、そして知識が詰まっているけれど、皆、イタリアの人々の生活や価値観をすごくよく教えてくれるものだと思うよ。 たくさんの歴史的なランドマークや建物、場所を擁する国として、イタリアのメディアは、自分たちの歴史や自然をとても大切にしている。 それは日本人も同じだよね。 文化や芸術が豊富な国に暮らす事で、若い世代からの様々な刺激も受けることができるし、自分の創造活動も、より自然なものになるね。

アレッシオが手がけた作品の一つに、「デイズ・オブ・ハーベスト」(監督: マルコ・リヒィ)という素晴らしい映画があります。 イタリア、エミリオ州の片田舎の、ブドウ収穫期の自然を背景に、キリスト教カトリック主義と社会主義の世界を描いた作品です。 この作品は、2011年のMIFF、ミラノ国際映画祭で、最優秀撮影賞を獲得しました。 アレッシオの動画への情熱は、今も衰える事はありません。 彼の最新の作品や活動は、公式ウェブサイトやSNSで確認することができます。

Alessio Valori(アレッシオ・ヴァローリ)

公式ウェブサイト
Instagram @alessiovalori_cinematography

WRITER PROFILE
「ITALIANITY」編集部

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