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ミラノの歴史を伝えるブレラ美術館

建築遺産であり、ミラノの歴史そのものでもあるブレラ美術館は、展示会やミラノにちなんだイベントなどのさまざまな催しで、ミラノ市の美術界を牽引しています。高名なブレラ国立美術学院の発祥の地にあり、絵画の宝庫として世界にその名を知られています。

ブレラ美術館ナポレオンが美術館として公開

記録やぶりの美術館

世界中の美術館の中でもイタリアの美術館の入場者数が多いことは知られていますが、中でもブレラ美術館は、毎年予想を上回る入場者数でその記録を更新しています。

2017年には、名品の数々を鑑賞するために35万人がブレラ美術館を訪れており、2017年の入場者数は前年の6、2%増で、イタリア国内にある美術館の入場者数ランキングの17位でした。政策によって工夫された入場料や開館時間によって、イタリアの美術館は黄金期を迎えており、2017年の総入場者数は5000万人を超えています。

アンドレア・マンテーニャ「死せるキリスト」アンドレア・マンテーニャ「死せるキリスト」 1480年頃 ブレラ美術館

古代から近代まで幅広いコレクション

美術館の建物は、2万4000㎡におよぶ敷地内にあります。とりわけ絵画コレクションが充実していて、ヴェネト派、ロンバルディア派、宗教的なモチーフの作品が充実しています。他にもティントレット、ジョヴァンニ・ベッリーニ、ルーベンス、ヴァン・ダイク、フランチェスコ・アイエツのみならず、ピエロ・デッラ・フランチェスカ、アンドレア・マンテーニャ、ラッファエッロ、ブラマンテ、カラヴァッジョなど、14世紀から19世紀の国内外のアーティストの秀作も収蔵されています。

1980年代には、エミリオとマリア・イエージの寄贈によってピカソ、ボッチョーニ、モディリアーニ、アルツーロ・マルティーニ、マリーノ・マリーニ、モランディ、カッラ、デ・ピジスを含む1900年代の絵画や彫刻がコレクションに加わって、ますます充実した比類ない美術館となり、美術愛好家には避けて通ることのできない名所になっています。

中庭を囲む優雅な宮殿

もともとは17世紀に建てられたイエズス会の施設でした。この宮殿(ブライデンセ図書館、天文台、植物園、ロンバルディア科学文学学院などの文化施設も併設していた)に滞在していたオーストリア大公マリア・テレジアの希望で、美術学院の生徒達の教育のために、1776年より絵画の収集が始められたのです。ブレラ美術館として開館されたのは1809年です。

この建物は当時ラテン語で「ブライダ」と呼ばれた郊外の未開拓の土地に建設されたことから、ブレラの名が付けられたと言われています。建物は中庭を囲む優雅な二階建ての回廊が特徴で、庭の中央にはアントニオ・カノーヴァの考案によるナポレオン像が立っています。2009年には収蔵作品の作家達にちなんだ数多くのイベントを催して、開館200周年を祝いました。

Translated by Yasuo Asaki